ローコストで実現したスタイリッシュなガレージハウス
「ビルトインガレージのあるシンプルモダンな住宅を新築したいと思っています。無駄なくいい家の設計をお願いしたいので、お話を聞きたい次第です。」と田原市のTさんからご連絡いただいたのが2009年5月のことでした。
ご夫婦と赤ちゃん3人でお越しいただき、設計事務所、工務店、ハウスメーカー、それぞれの家づくりの特徴をご説明。資料をお渡しして検討いただくことに。
その2週間後「資料を読み夫婦で話し合ったのですが、プランニングをお願いしようと思います。理想の家を一緒に作っていける建築士さんとして私どもも楽しみにしております。」との連絡をいただき、さっそくヒアリングを行ないます。
ヒアリングでは、好みの建築や小物のイメージ写真、新居に持ち込みたい家具のリストや照明、現在のお住まいのアパートの家具・家電レイアウトのスケッチをいただきました。
プランニングは将棋のように一手先の選択肢が広く、さらにその先の選択肢は無限に広がりますから、プランニングを考える上で、このような資料はありがたいです。
3週間ほど掛けてプレゼン案を練り上げ、7月にプレゼンテーションを行いました。この提案を気に入っていただき正式にTさんとの家づくりが始まります。
通常、基本設計ではプレゼン案をもとに「ここはこうして欲しい」といったお客様からの意見をいただきプランを修正していきます。時に全くプランが変わることもあります。プレゼン案はお客様と話し合いをするための切欠であり、たたき台に過ぎません。
ところがTさんの場合、プレゼン案か変更することがないと言うのです。
生涯で最も大きな買い物ですので、一発の提案で決めてしまっていいのか・・・我が家のCGや図面を見て気持ちが盛り上がっているときこそ、一度冷静になって、本当にこのプランで進めて良いかお考えいただく期間を提案します。いわば「プランを寝かせる期間」です。
Tさんには「一生のうちの2か月です」と説明し、納得してくださったので、打合せはしばらくお休み。でもメール好きなTさんはちょくちょく雑談メールを送ってくれました。こちらからも雑談を返信したり、コストを抑えるうえで参考になるホームページを紹介したりしていました。2ヶ月の間考えた結果、「やっぱりこの設計で進めたい」ということで、次のステップの実施設計に入ります。
実施設計では仕上げや仕様、スイッチや照明の位置、設備の仕様などを決めて図面化します。家電レイアウトを打ち合わせ、それに即したコンセントの位置を決めたり、ガレージ内の車・バイク・工具の配置を決めてそれを基にメンテナンスピットの位置と寸法などを決めたりします。細部にまでTさんの暮らしに合わせた設計を行ないました。
グリッドに則ったプランニングで材料ロスと余分な職工手間を削減。合理化された寸法でコストを抑えながら、魅せるべきポイントには惜しみなくコストを掛けるメリハリのきいた設計で、シンプルでありながらも雰囲気のあるガレージハウスが完成しました。
「八軒家のガレージハウス」家づくりの様子はコチラのブログをご覧ください
https://www.dikta.jp/blog/?blog_category_id=21
リビングダイニング+キッチン。ダイニングとリビングの仕切りを可動式とすることで部屋の模様替えに対応可能です。
(写真左)階段をストリップにすることで広がりのある玄関空間に
(写真右)ダイニング+キッチン。キッチン左側の扉はガレージにつながります。
(写真左・右)2階ホール
(写真左)子供部屋は明るめのフローリング
(写真右)漆喰と黒色ガルバのシンプルな外観
Architectural Data
建設地 愛知県田原市
用途 専用住宅 (ビルドインガレージ付)
構造 木造在来工法
施工 有限会社 萩森建設
敷地面積 197.1 ㎡ (59.6坪)
1階面積 82.0 ㎡ (24.8坪)
2階面積 62.1 ㎡ (18.8坪)
延べ面積 144.1 ㎡ (43.6坪) ※ビルドインガレージ含
竣工 2010年9月
耐震等級 3(相当)