設計監理とは「クライアントの家づくりを守る」こと。

2020-01-12



「三方原の家」の工事監理のご報告をしたことにより、ひとつの家づくりが終わりました。

この家づくりにおける最初の打合せから工事完了までの議事録は、A3ファイル5冊にも及びます。



このファイルには、お客様との打ち合わせ記録のほかに

・ 工務店との打ち合わせや折衝の記録
・ 施工報告や施工図のチェック
・ 検査の記録
・ 変更や確認の記録

などが記されています。


ところで、設計事務所の重要な仕事のひとつに設計図面を書くことがあげられます。現場の工事は、この図面に基づいて進められます。



設計図は一般の住宅でもA2サイズ50枚~60枚ほどのボリュームになります。(写真はA2サイズの製本図面と、現場用にA3サイズに縮小したものです。)
この図面が多くの職人さんや関係会社に渡され、工事が進められます。しかし、これだけの設計図面を揃えても、お客様や設計者の意向を完全に伝えることは難しいのです。


設計図で伝えきれない部分については、監督、職人、設計者が現場で打ち合わせを行い、設計意図の共有を図ります。また、業者から提出される施工図面や施工要領、仕様書などを通じて、設計内容の理解状況を確認します。


(写真は、オーダー家具の施工図面で引き出しの使い勝手やスライドレールの確認、洗面カウンターの人造大理石について打ち合わせの様子です。)


設計段階では考えに考えた上で図面を書きますが、現場が動き始めると空間のボリューム感と素材感が実感を伴って感じられるようになり、より良いものを作りたいとの思いから、現場で変更をすることもあります(写真は、設計寸法より天井高さを低くしようと高さの確認を行っている場面です)。


また、設計段階で描ききれなかった細部の納まりは、監督、職人、設計者が協議を重ね、より良いものを目指します。
こうした現場での打ち合わせとブラッシュアップを繰り返すことで、建物はより良いものに仕上がっていきます。


家づくりの現場では変更がつきものです。それらはすべて記録し、現場で間違いが起きないように気を配ります。


また、一品生産の家づくりでは間違いがつきものです。設計図通りでない箇所は現場に是正指示を行います。
(写真は、引き抜き荷重の大きな柱脚に近接するアンカーボルトは通常より大きな金物を使うようにとの設計意図を現場に伝えたスケッチです。)


現場では必ず撮影を行い、写真を記録として保存しています。一つの家づくりで撮影した写真は膨大な量になります。
(写真は工事写真のフォルダーです。赤枠で囲まれた部分が工事開始から引渡しまでの記録で、この現場では30回以上現場に通いました。)


また、構造金物や配筋など、隠れてしまう箇所もすべて写真を撮影します。そのため、写真の枚数は非常に多くなります。

事務所に戻って検査記録をまとめているときに、現場での見落としに気づくことがありますが、これだけ撮影してあれば、確認したい部分がどこかに写っています。



設計事務所の業務は「設計監理」を行うことと規定されています。
端的に言えば、それは「クライアントの家づくりを守る」こと。この一言に尽きると考えています。

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  この記事を書いた人 

  原田 久( 建築家 / 一級建築士 )

有限会社 ディクタ建築事務所 代表取締役

愛知県北設楽郡設楽町出身
豊田工業高等専門学校建築学科卒業後、大阪の建築家・出江寛氏に師事。
出江事務所退社後、ハウスメーカー、ゼネコンを経て1998年設計事務所開設。
豊橋・豊川・蒲郡・新城等の愛知県三河地域で、住宅専門の設計事務所として
クライアントと一緒に楽しく丁寧な家づくりをしています。

1998~2004 豊田高専建築学科 非常勤講師
1998~2001 利幸学園 中部ビジネスデザインカレジ インテリア科 非常勤講師

ブログ(プロジェクト進行状況の紹介)  https://www.dikta.jp/blog/
コラム(家づくり全般について)     https://www.dikta.jp/column.html 

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