私の設計する家は、他にはないものを感じると言われます。
誰でもできる普通の設計をしているつもりですが、もし他の設計者とは違う何かがあるとすれば、それは思想や手法といった根本的な部分にあると思います。
先日、YouTubeを見ていて、その辺の事情に共通するものがあり、おもしろく感じた動画がありました。
それは、日本を代表するレコーディングエンジニアである吉田保さんと森元浩二さんが、同じ楽曲のレコーディングとミキシングを行い、それぞれの楽曲サウンドにどれほどの違いが出るかを探る企画です。
例えば、12:50~13:50あたりで、森元浩二さんはミキシングの早い段階で、リズムが出来た時に歌声を足して確認しています。
これは私がプランニングを行う際に、立面図を書いたり、CGソフトでボリュームを出してバランスを確認する作業に似ています。
<御津日暮の家、プランニング初期にCGでボリュームを確認。ダメならやり直し。良さそうならプランを深めていきます。>
その後も、なぜそうするのか理由を語りながら細かな調整作業を続けていきます。
師匠の教えや自分の好み、作業の効率など、さまざまな要素を踏まえながら作業を進め、一つの音楽としてまとめていきます。
そのような過程を経て出来た吉田さんと森元さんの音楽。聴き比べてみると、提供された素材がまったく同じであるのにかなりの違いがあることに驚かされます。(森元さん→52:25あたりから)(吉田さん→54:25あたりから)
設計者がプランニングを語りながらの動画を公開したら、思想も手法も百人百様で面白そうですね。
私の設計した家には、師匠である出江寛先生の教えや思想の影響が大きく、無意識のうちにあるいは意図的に私の好みや思想が反映されています。
他にない何かを感じられるのは、これによるのかもしれません。