SE構法で実現した開放感。スキップフロア住宅の断面解説(豊橋市・老津の家)

2019-10-13



隣りあう部屋が半層ずつずれながら連続するスキップフロア住宅は、空間構成の面白さとダイナミックさが魅力です。
使い勝手、熱効率的、バリアフリー的、コスト的に不利な形式ではありますが、最大のデメリットは構造的に不利な要件が多くなることです。

木造在来工法でスキップフロアを設計するとなると、それぞれの階層で構造要件を満たす必要があり、
同規模の建物に比して耐力壁を多く設ける必要があります。
空間を耐力壁で分断されてしまうことになり、せっかくスキップフロアを採用したのにその魅力を失いかねません。

鉄骨やコンクリート造ならスキップフロアの魅力を引き出すプランも考えやすいのですが、
「老津の家」では、お客様の木造に対する強い思い入れがあり、鉄骨での架構はNG。

木造でも鉄骨と同様の「ラーメン構造」が可能な構法があり、この方法なら、耐力壁を少なくすることができます。
結果、スキップにより階層の異なる他の部屋ともOPENに繋がる設計が実現しました。


断面構成は上の図のようになっています。

1F:  裏側勝手口、駐車場
1.5F:玄関、子供遊びスペース(→将来和室)
2F:  水まわり、和室、中庭
2.5F:LDK
3F:  書斎、寝室



南側。丘の階段を使って1.5階レベルの玄関にアプローチ。


北側駐車スペース。張り出し2.7メートル片持ち空間です。(直上階は和室、中庭、水まわり)


1.5階の玄関ホール。


2階和室から、1.5階の玄関と2.5階のLDK方向の眺め。
耐力壁が少なくスキップフロアならではの開放感があります。


各フロアは吹抜を介して連続して繋がります。
奥のダークブラウンの壁は1階~3階までのボルダリングウォール。


2階の水まわり。


2.5階にあるリビングからの眺め。甍の連なる老津の街が一望。


SE構法の登梁による架構。火打など余分な斜材がなくてスッキリした構造です。


3階の書斎とトイレ。
書斎は家族みんなのライブラリースペースです。

 

「老津の家(豊橋市)」竣工写真と作品の紹介をしています。
https://www.dikta.jp/work-detail.html?id=43


   

 

 

豊橋、豊川、蒲郡、岡崎、豊田、設計事務所と創る注文住宅|有限会社 ディクタ建築事務所

有限会社 ディクタ建築事務所 / Dikta architects office