施主・夫
二人で、そろそろ家をという話をしていて、ネットで「愛知 設計事務所」などの検索をして、候補を探しました。でも実は、原田さんには申し訳ないんですけど……
施主・妻
ね。実は彼は、最初はDiktaさんにあまりピンと来なかったんです。
施主・夫
もう少し都会的で、“きれいな”感じのところを探していました。
施主・妻
私はDiktaさんを“アットホームで、すごくいい”と思って、「ここは絶対連絡したい!」って言いました。
施主・夫
妻に感謝です(笑)。Diktaも含めていくつか設計事務所に問い合わせをしました。そうしたら原田さんのメールの返信がとても印象に残りました。なかには、敷居が高そうな返信が返ってきたり、こちらの要望をあまり聞いてくれない事務所もあったんです。でもDiktaは施主の意向を大事にしてくれると感じました。話を聞きに事務所に行った時も、持参した要望資料をよく見てくれました。自分のポリシーは聞かせてくれるけどこちらの資料にはほとんど目を通してくれない、という人もいたので、嬉しかったです。
施主・夫
僕は「まずは全部比較して決めたい」という性分なので、ハウスメーカーも1社、見学に行って、プランの提案も依頼しました。でもハウスメーカーの家づくりは“標準とオプション”という考え方が基本にあります。標準というものが最初から用意されていることが僕にはしっくりきませんでした。それと、大手は広告宣伝に相当のお金をかけていることも実感しました。見学ツアーに豪華なお弁当が用意されていたりとか。それは企業努力でもあると思うのですが……。でも、その費用は結局どこから出ているのかと考えたこともあり、割と早い段階から「設計事務所で建てたいな」と感じていたと思います。
施主・妻
私の実家は工務店で建てた家で、何かあるとその工務店さんに相談に乗ってもらっていました。姉も地元の工務店で家を建てていて、それを見ていたので不安はありませんでした。規模が小さくても、きちんとしたところに頼めば大丈夫だと。原田さんのブログで工事中のやりとりを読んで、工務店さんとの関係が良さそうだから安心できそうだな、と感じていました。
施主・夫
見学させてもらえるところを教えてもらって、その中から「北設の家」をお願いしました。見学しながらお話も聞かせてもらって、施主の要望が細かいところまで反映されていることがわかりました。僕は最初から要望が多いほうだったと思いますが、「要望が多くてもできるんだ、とことん希望を言っていいんだな」と感じて、こういうふうに家づくりをしたいと思いました。
施主・夫
そのときにはハウスメーカーのプランも出ていたんですが、要望の反映のされかたがまるで違っていて、Diktaのほうが質・量ともに格段に良かったんです。「ここで決まり」でした。
原田
それで基本設計に着手して、おおかたまとまったところで概算見積りを出しました。プレゼンから約3か月後です。……でも、金額をお知らせするときは内心、「なんでこんな金額になるんですか!!」ってお叱りを受けるのではと心配していました。
施主・妻
私たちは「まあ、そうなるよね、やっぱり」という感じでした。あの要望を全部入れてもらったら予算オーバーは当然だよね、と。でも、帰りの車の中では二人で「いやー、行ったねー!」って(笑)。さてここからどうしようか、と話したのを覚えています。
施主・夫
原田さんが出してくれる選択肢や提案が具体的だったので、大変だったという記憶はありません。それと、質のいいものを求めればそれなりの金額になることは覚悟していたので、すこし余裕を見て予算を知らせてありました。それで、材料ややり方を変更した箇所もあれば、増額を受け入れた箇所もあります。
原田
予算の兼ね合いで大きく変更した点は、1階に希望されていた和室を2階にしたことと、ガレージをやめてカーポートにしたことです。
施主・夫
そうでしたね。でも、すべて納得できました。やりたいことを我慢したり犠牲にしたりした感は全くありません。
施主・夫
何かにつけ、ハウスメーカーよりも選択肢が多くなるので大変といえば大変ですが、選択肢が広いほうが嬉しいので、選んで決めること自体が楽しかったです。
施主・妻
確かに決めることはたくさんあったのですが、焦りはありませんでした。友人が家を建てたときには、「いついつまでにこれだけ決めてください」って言われて、夜中まで旦那さんと話し合ったと聞きました。メーカー側のスケジュールに乗っていかないといけなくて、すごく大変そうだったんです。でもうちは、ほんとうにゆっくり検討しました。「こんなに時間かけちゃってDiktaさん大丈夫?」って心配になるくらい(笑)。早く決めて進んだほうが設計事務所の経営にはありがたいはずですよね。
原田
私は工務店さんから「絶滅危惧種」って呼ばれてます。でもその工務店さんも同じようなスタンスなので、私と同じ絶滅危惧種だと思うんですけど(笑)。焦って決めて進めてしまっても、「やっぱり変更」ということになることも多いし、不満を残した家づくりはしてほしくないので、じっくり決めてもらうほうがいいんです。
施主・夫
工事が始まったときは、今までずっと紙の上でやってきたことが実際に“モノ”になっていくのを目にして、不思議な気持ちになりました。「家をつくるんだ」という実感が湧いてきました。
施主・妻
私は2人目の出産を控えていたので、地鎮祭を最後に、里帰り出産のためにいったんこちらを離れました。「工事が始まったら現場に足繁く通って、大工さんとやりとりして……」というイメージを持っていたので、少しだけ寂しかったです。でも夫が進捗をまめに知らせてくれたので、様子はわかりました。出産後に戻ってきたときにちょうど、キッチンなど家の中のことを決める時期に入ったので、タイミングがよかったです。工事中、大工さんも工務店さんも、とてもよくしてくれたことが強く印象に残っています。
施主・夫
「自分たちがいいと思えるものをつくりたい」と思って仕事してくれていることが、とても伝わってきました。誇りをもって全力で家づくりをしてくれる工務店さんで、ありがたかったです。
施主・妻
私はキッチンと、その周りの動線です。キッチンの配置は最初のプランから変更してもらいました。同じLDKにいても、キッチンに立ったときに家族と視線が合わないと、なんとなく疎外感を感じるんですね。今の配置ならキッチンからLDK全体を見渡せて、子どもに目が届くし、一緒にいることを実感できます。それから、カーポートからキッチンに直行できる入口がとても便利です。
施主・夫
妻はそっちが便利だと言って、正面玄関をほとんど使わないんです(笑)。僕は……、こだわったところって、なかなか「これ」と言えません。基本的に全部こだわりました。強いて挙げるとすれば、玄関までの長めのアプローチかな。これは最初から要望として伝えていました。妻には反対されたんですけど。
施主・妻
「最初はいいかもしれないけど、飽きるって」って。でも夫の案で行くことにしました。そうしたら工務店さんが「まっすぐじゃつまらないから」と石をわざと左右にずらして並べてくれたんです。面白味が出たし、木を植えるスペースもできました。今では私のほうが木の手入れを楽しんでいます。実のなる木なので、子どもが取って食べたりもしてるんですよ。結果的によかったです。
施主・夫
そうそう、僕は、ときどきLDKの端に立って、全体を眺めて、「うんうん」って一人満足してうなずいていることがあります。
施主・妻
リビングに関しては、夫の要望を優先して、あまり何も言いませんでした。「住んでから好きなように飾って楽しもう」と。実際にそうしています。
施主・夫
「ついに」と思いました。嬉しかったです。できてみると「あっという間だったな」と感じました。でもさみしさもありました。完成が近づいてくると、決めることがだんだんなくなっていくんですよね。それまでずっと選んだり決めたりする日々だったので、「決めることがもうないんだ」と思いました。「そういうフェーズに入ったんだな」と。
施主・妻
うん。完成してもちろん嬉しいんですけど、「終わりが来るんだな」というさみしさはありましたね。
施主・夫
家づくりの間、図面を見ながらずっと生活を想像していました。それが現実になって、「あ、住んでるんだ」と今でもふと思うことがあります。そういえば、アパート暮らしのときは少々の傷や汚れは気にならなかったんですが、この家では気になるようになって、掃除をよくするようになりました。ただ、子どもがまだ小さいこともあって、落書きもあるんです。床にかなり目立つ落書きがあって、見つけた時は、正直、がっくりきてしまいました。
施主・妻
私は「傷や落書きもひとつの味だよね、ありだよね」と思うんだけど。
施主・夫
そうなんだよね、「それもひとつの味、家族の歴史」というのはわかる。でも気になる。そのバランスをどう取るか、ということを考えています。
施主・妻
少し想定と違っていたのは、1階の物干し場です。庇の下でも充分風が通ると思っていたんですが、秋冬になると乾かなくて。2階にも物干し場があるので、秋冬は2階に干すことにしました。
施主・夫
想定外といえば、あとはコンセントの位置くらいですね。設計の時に位置をかなり考え抜いたので満足しているんですが、1か所だけ。洗面台の下のコンセントを奥のほうに付けてしまったので、冬の暖房器具を使う時に、毎回もぐって抜き差ししています。これは手前に付けておけばよかった。それくらいですね。
施主・夫
庭が広いので、いろいろやってみたいですね。完成させていくのが楽しみです。
施主・娘さん
私はお庭が好き。今日もすべり台で遊んだよ。(このすべり台は、庭の傾斜に遊び心を起こした工務店が作ってくれたもの)
施主・妻
ね、お友達もすべりに来るね。
施主・夫
今思っているのは、「誰か知人にDiktaで家をつくってほしい」ということです。そして、建てる前にこの家を見に来てほしい。それがすごく楽しみです。設計事務所に問い合わせをするのは、最初は心理的に少しハードルが高いけれど、勇気を出して一歩踏み出してみてほしいです。とても満足のいく家づくりができたので。
原田
その言葉、とても嬉しいです。僕もお手伝いさせていただけて本当によかったです。どうもありがとうございました。