豊川市「白鳥町の家」 竣工しました。
杉焼板張りの外壁と切妻屋根を採用した平屋の住まいです。
敷地形状に合わせた不整形のプランとなっています。
玄関は「お客様をお迎えする」内開きの扉で、日本ではあまり見られない形式です。
宮脇檀さんの設計例で知っていましたが、実際に設計したのは今回が初めてです。
設計者の私でも、思わず外に扉を開こうとしてしまいます。
居間
居間と畳スペースは、障子で仕切ることができます。
キッチンはウッドワンの「スイージー」を採用しています。
障子は壁の中に引き込める仕様です。
寝室への通路には、本棚と腰掛けを設置しました。
その手前(リビング側)にペレットストーブを置きます。
通路の一角には、書斎スペースがあります。
寝室
部屋を広く見せるために、クローゼットの足元を開放しています。
洗面室と浴室
洗濯スペースの隣に物干し用のインナーデッキを設置しました。外からは見えにくい場所に配置されています。
浴室はハーフユニットで、壁と天井は桧板を張りです。
トイレ
土間収納
家づくりの設計をしていると、クライアントから謎かけのようなご要望をいただくことがあります。
すでに明確な答えを持っている場合もあれば、クライアント自身が漠然としていて、一緒に答えを探しながら家づくりを進めることもあります。
そのヒントとして、クライアントから教えていただいた本や映画を読むこと、観ることを心がけています。今回の家づくりでは、映画『モリのいる場所』が非常に魅力的で、とても面白く感じました。
また、教えていただいた本の『建築家は住まいの何を設計しているのか』(藤山和久著)の次の一節が特に印象に残っています。
それは、建築家の吉村順三さんが弟子の増田奏さんに言った次の言葉です。
「僕はね、『この人はこの家のどこを設計したのかな?』って思われるような設計を目指したいんだよ。クライアントからそう思われる設計が、いちばんいい設計なんだ。」建築家が「ここを設計しました」「あそこをデザインしました」とアピールしたくなる気持ちは理解できますが、それが前面に出すぎた住宅は、「いかにも建築家が設計しました」という感じになってしまいます。むしろ、設計の痕跡を感じさせないことが、建築設計にとって重要だと吉村先生は伝えたかったのだと思います。
私もそのスタンスに強く共感しました。今回の家づくりが、設計の痕跡を感じさせない、さりげないものになっていると良いなと思います。
この度は、竣工おめでとうございます。