住宅建設費が1.4倍に。フラット35利用者調査から読み解く、注文住宅の現状

2024-08-09 · 建設費のこと


先月「フラット35利用者調査」
が公表されました。
そのデータをもとに、注文住宅の動向について考えてみます。


まず、全国のデータを見ると、所要資金に関して注文住宅の価格は上昇を続けています。
この上昇の背景には、建材やガソリン価格の高騰が影響しています。


住宅の面積について、10年前の平均面積が133㎡だったのに対し、現在は120㎡を下回っています。
これは、13㎡(=8畳)の部屋が丸ごとなくなった計算です。


次に、愛知県の注文住宅の「建設費」と「住宅面積」の推移を見てみます。

2011年には住宅面積が139.4㎡で建設費が3,203万円でしたが、2023年には住宅面積が123.6㎡に減少し、建設費は4,044万円に増加しました。

この背景には、次の要因が挙げられます。

  1、  資材費の高騰:建設に必要な資材(木材、鉄鋼、コンクリートなど)の価格が、世界的な需要増加や供給不足により上昇していること。
  2、  建築基準や規制の厳格化:地震対策や省エネルギー基準の強化に伴い、より高品質な性能が求められ、それが建設費に反映されていること。

住宅面積の縮小と建設費の高騰の結果、面積あたりの建設費は1.4倍に増加しています。

実は、職人さんたちの賃金(人工費)は全く上がっておらず、仕事の対価としては安すぎるとの声もあります。(心苦しく感じるところです。)
職人さんのなり手が少なく、職人不足の現状を考えると、やがて職人さんたちの手間賃も上がってくるものと思われます。

所得が大きく増えない中で建設費が上がり続けるため、よりコンパクトで効率的な住宅が求められています。
限られたスペースを有効に活用するための工夫が必要となります。

広い家であれば、多少プランニングが甘くても、大きな不満にはつながりません。

しかし、小さな家では、設計の良し悪しが住人の満足度に直結します。
快適な小さな家を設計するためには、住まい方を明確にすることが重要で、設計者とのコミュニケーションが欠かせません。

小さな家ほど、設計者の力量が試されることになります。


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  この記事を書いた人 

  原田 久( 建築家 / 一級建築士 )

有限会社 ディクタ建築事務所 代表取締役

愛知県北設楽郡設楽町出身
豊田工業高等専門学校建築学科卒業後、大阪の建築家・出江寛氏に師事。
出江事務所退社後、ハウスメーカー、ゼネコンを経て1998年設計事務所開設。
豊橋・豊川・蒲郡・新城等の愛知県三河地域で、住宅専門の設計事務所として
クライアントと一緒に楽しく丁寧な家づくりをしています。

1998~2004 豊田高専建築学科 非常勤講師
1998~2001 利幸学園 中部ビジネスデザインカレジ インテリア科 非常勤講師

ブログ(プロジェクト進行状況の紹介)  https://www.dikta.jp/blog/
コラム(家づくり全般について)     https://www.dikta.jp/column.html 

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