先月「フラット35利用者調査」が公表されました。
そのデータをもとに、注文住宅の動向について考えてみます。
まず、全国のデータを見ると、所要資金に関して注文住宅の価格は上昇を続けています。
この上昇の背景には、建材やガソリン価格の高騰が影響しています。
住宅の面積について、10年前の平均面積が133㎡だったのに対し、現在は120㎡を下回っています。
これは、13㎡(=8畳)の部屋が丸ごとなくなった計算です。
次に、愛知県の注文住宅の「建設費」と「住宅面積」の推移を見てみます。
2011年には住宅面積が139.4㎡で建設費が3,203万円でしたが、2023年には住宅面積が123.6㎡に減少し、建設費は4,044万円に増加しました。
この背景には、次の要因が挙げられます。
1、 資材費の高騰:建設に必要な資材(木材、鉄鋼、コンクリートなど)の価格が、世界的な需要増加や供給不足により上昇していること。
2、 建築基準や規制の厳格化:地震対策や省エネルギー基準の強化に伴い、より高品質な性能が求められ、それが建設費に反映されていること。
住宅面積の縮小と建設費の高騰の結果、面積あたりの建設費は1.4倍に増加しています。
実は、職人さんたちの賃金(人工費)は全く上がっておらず、仕事の対価としては安すぎるとの声もあります。(心苦しく感じるところです。)
職人さんのなり手が少なく、職人不足の現状を考えると、やがて職人さんたちの手間賃も上がってくるものと思われます。
所得が大きく増えない中で建設費が上がり続けるため、よりコンパクトで効率的な住宅が求められています。
限られたスペースを有効に活用するための工夫が必要となります。
広い家であれば、多少プランニングが甘くても、大きな不満にはつながりません。
しかし、小さな家では、設計の良し悪しが住人の満足度に直結します。
快適な小さな家を設計するためには、住まい方を明確にすることが重要で、設計者とのコミュニケーションが欠かせません。
小さな家ほど、設計者の力量が試されることになります。
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