前編からの続きです。
クライアント様セレクトの家具と照明が入りました。(照明:FUTAGAMI テーブル:FILT. 椅子:Yチェア )
和室はリビングの延長にタタミスペースがあるイメージです。仏間はお仏壇に合わせた開口に行儀よくおさめます。
飾り棚の間接照明は棚板側面に仕込んで器具を隠ぺいしています。( 参考記事:家具照明の納まりについて)
パントリーはリビングから見えない場所にレイアウト。上段:神棚、中段:パントリー&家電ラック、下段:炊飯器用のスライド棚です。
ウォークインクロゼット(WIC)衣類の色あせを考慮して採光は最小限に。
WICに隣接してランドリースペースをレイアウト。浴室は離れで暮らす祖父母と共用のスペースとなり、お祖父さまたちはこの勝手口から出入りします。
ランドリースペースにもハンガーパイプを用意。普段使いのハンガーラックとして、あるいは乾燥のあまい服の物干しとして使います。写真左に進めば洗面スペース、書斎、玄関へ到ります。
トイレと洗面スペースです。高窓から見える竹林の緑が美しいです。(ペーパーホルダー:千葉工作所)
ルーバーにより玄関と洗面スペースを軽く仕切ります。洗面スペースは、見えても恥ずかしくない空間ですが、日常空間をあからさまに見せないことで玄関ホールの品位を高めます。
書斎はリモートワークを念頭に個室化の流れにあります。(トグルスイッチ:toolbox スポット照明:panasonic )
「石巻平野町の家」の工事が終わり、この家づくりを振り返るとき頭に浮かべる言葉があります。
“山深く、人知れず咲く、清楚な花一輪、立ち去りがたい、そんな建築が創れたらとの想い。
簡素で自然で静寂で、望めるものなら、凛子たる気品が漂うならばと。
ことさらに飾る、化ける、人目を引く、浅ましきことと思っております。”
八幡浜市の日土小学校(戦後の木造建築で初の国・重要文化財)の設計者として知られる村松正恒さんの言葉です。
設計事務所に依頼するのなら、デザイン性のひとつやふたつは主張したくもなるでしょう。しかしこの家のクライアントはそれを望みませんでした。
この住まいの凛子たる気品は、クライアントの精神性の高さと心の豊かさのあらわれと感じます。