こちらは玄関ホールから見える客間の景色です。
自然と奥の開口部に視線が向き、奥行きを感じます。
体感としては客間も含めた広い玄関ホールです。
玄関ホールと客間との一体感を強める工夫がいくつかあります。
まず、垂れ壁を設けないことで天井面の一体感が強くなります。
天井の建具枠は、障子を開けた時に天井と馴染むよう木目ではなく白くしています。
人が通ることを目的とすれば、障子1枚の幅があれば十分で残りの障子部分を壁とすることも考えられますが、
耐力壁を最小限に抑えられるSE構法を採用したこちらのお宅では壁を無くし障子としています。
実際には障子を開けた時と壁がある時とで開口となる面積はそれほど差はありませんが、
壁が空間と空間をはっきりとわけることに対して、障子では光を通すことからもやんわりと領域をわける印象になります。
床の切り替え部分はホールのフローリングを客間まで伸ばすことで、視覚的な一体感を強めています。
障子下のアンバーの床レールは畳の脇に設けるよりもフローリング床に設けるほうが馴染んで目立たないように感じます。
間接照明をホールから客間まで途切れることなく施すことでも各室の一体感は強まりますし、ホールにある腰掛と客間にあるエアコン前のルーバーや収納扉の色を揃えることでもそれぞれ別の空間といった感じが薄まります。
上記のような工夫を違和感なくまとめられた時には設計者側としても嬉しくなりますし、便利に心地よく暮らしていただけることが何よりの喜びです。
2021.10.29 栗山祐子