壁と床の取り合い部分に用いられる材を巾木、壁と天井の取り合い部分に用いられる材を廻り縁といいます。
それぞれ水平ラインとして目に触れます。
シンプルな空間を求めると用いる材は少ないほうが良いですが、両者には役割がありますので安易になくすのは考え物です。
特に巾木。無垢フローリングは季節や天気によって調湿し伸縮します。
壁との隙間がない場合には伸びる余裕がなく床が歪んでしまい、余裕を見込めば隙間が生じた状態に。
出来た隙間にはホコリが溜まってしまいますので、それをカバーするのが巾木です。
廻り縁も天井を板材とした場合には同じ理由です。
床や天井が伸縮しないとしても、隙間なく施工するのは難しく、月日が経過してもずっと隙間のない状態を維持できるかというと地震で揺れることもあると考えると、やはり余裕は見ておきたいです。
巾木はルンバなど掃除機が壁に当たる場合の保護にも役立ちます。
そんな理由から、巾木も廻り縁もなくさないのが基本です。
どうしてもなくすのであれば、伸縮しにくい材を用いるようにしています。
上の写真では、巾木の高さは30㎜と一般的なものより小さくして目立ちにくくし、廻り縁は底目地としています。
引き算的発想での小さなことの積み重ねで一味違う空間が出来上がります。
2021.09.24 栗山祐子