こちらのお住まいは構造材が仕上げ材を兼ねています。
例えば天井は、「浴室の湿気が構造材に直接触れるのは良くないので、湿気を遮るために天井材を施す」というように
必要な部分にしか設けず、リビングや他の居室では梁と構造用合板がそのまま見えます。
写真右手の階段のあたりを見ていただくと、真壁ですので柱も構造金物も見えます。
天井・壁の仕上げ材を施すメリットは、こういった構造金物を隠して見た目をすっきりさせられることです。
天井面ではレンジフードのダクトや照明の配線も目に触れないので施工しやすさを優先できます。
場合によっては下階への音対策で、ふところと呼ばれる天井と構造床との間のスペースに断熱材を施すこともあり
そういった できれば目に触れてほしくないものを隠せます。
構造材がそのまま仕上げ材になる場合には、配線が無造作に見えてしまわないようにレールダクトを用いたり
梁際など目立たない部分に線を這わせたりといった工夫が必要です。
スキップフロアのこちらのお住まいはSE構法ですので構造材は集成材。
ラミナと呼ばれる木材を組み合わせた材ですので無垢材に比べて材の表情が賑やかです。
目に触れる集成材が多すぎると、落ち着きのない空間になってしまいかねませんのでリビングの壁は大壁としています。
構造材が仕上げ材を兼ねる空間は工夫はいるものの、余計な空間のないスリムなものになり、おおらかさのある
面白い空間になります。
2021.03.26 栗山祐子