私たちが手掛ける建物のほとんどが、建具は造作です。
建具職人さんが一枚一枚作る手作りの扉と、大工さんの作る枠とで構成されます。
最近では、既製品建具のデザインも豊富になり色目やガラスはもちろん、取っ手がある程度選べたり天井までのハイドアも選べたりと選択の幅が広がっています。
それでも既製品建具と造作建具とで大きな違いがあると感じるのが枠の部分です。
不要なラインはできるだけなくしたい、必要なラインは美しくあってほしいという目で見ますと、やはり造作建具のほうが美しいと感じます。
ほとんどの既製品は、「見込み」と呼ばれる壁厚方向はすべて枠になっています。
扉の縁取りにあたる枠の「見付け」を細くする、薄くするといった選択肢はありません。
造作建具では大工さんが枠を作ってくれますので、「ちり」と呼ばれる部分を無くし壁の厚み方向にもクロスをまわして扉枠の見込みと見付けを小さくして目立たないようにもできます。
少しずつ手間はかかりますが出来上がると美しいです。
造作建具ならではの味わいは建物全体の味わいにも大きく影響するものと考えています。
2020.11.13 栗山祐子