フローリングに代表されるように、住まいの仕上げには様々な「板」が用いられます。
こちらでは床の他に、天井、家具、扉、軒裏、デッキにも板が用いられています。
ここで注目したいのは板の「方向」です。
板の方向で奥行き感が変わりますので、広く見せたいリビングでは一般的にフローリングは長手方向に用いられます。
サッシを挟んだ屋外デッキはリビング床の延長として捉えて一体感を強くしたいため、床と方向を揃えています。
天井は、屋外へ視線が流れてほしいことと、継ぎ目を無くしてすっきりさせたいことから床とは直行に。
軒裏は室内天井と一体的に見えるよう、天井板と向きを揃えることに加えて高さと素材を揃えたデザインとしています。
スリットの入った扉は長手ルールとスリットを際立たせるよう縦方向に、家具の扉は1枚でなく4枚をまとめて目にした時の長手が横になるので横方向に。
同じ建物のキッチンの床を見ていただくと、フローリングの方向が効いてすっきりしています。
キッチン奥のパントリー、廊下への動線も板目に沿って流れるように促されます。
板の方向が違うからといって不都合になったり実際に邪魔になるわけではないですが、無意識に影響される部分ですので慎重に決めています。
2020.11.06 栗山祐子