吊押入を「収納メインの場」としてとらえますと、足元をオープンにすることで収納量が減ってしまい、
スペース的に勿体ないと感じるかもしれません。
しかしながら、和のインテリアや花を飾る「飾り棚兼用」、
季節・期間限定の雛人形や兜を出しておきたい「プチ床の間兼用」ととらえますと、
別にスペースを設けるよりも効率的にスペース利用ができるとも考えられます。
吊押入では、足元までの普通の押入の場合と比べて視線の行き止まりが遠くなり、
空間に奥行が生まれて広く感じられます。
写真では地窓を合わせることで、視線は障子で止まっても、障子の向こうの屋外空間も感じられますので
より心理的な圧迫感は少なくなります。
収納スペースとして使いやすい部分のみを吊押入として利用し、使いにくい部分は効果的に広さを感じられるように
何もない状態としておくことができるのも、吊押入ならではの贅沢です。
2018.12.27 栗山祐子