前回の続きです。
2階はダイニングキッチン+居間、浴室等の暮らしの中心となる空間です。
万一車いすが必要になってもエレベーターを想定した設計をしています。
骨組みや基礎形状をエレベーター対応とし、床はエレベーターシャフトで開口をとると弱くなるので予めシャフト周囲を補強をしています。
DKと居間(和室)は障子で間仕切り。開け放てば広がりのある居住空間です。
現在は東西両側の敷地に高い建物がありませんので両サイドから採光を得られてとても明るい空間なのですが、
将来的には高い建物で塞がれる可能性があります。そこで、この階は明るい色でまとめることにしました。
居間となる和室にはお仏壇収納、造付けのリビングボード、神棚があります。
間仕切りの手前側はキッチン家電収納、システムキッチン。
お仏壇の扉は回転した後に引き込むタイプ。
3枚引き戸の押し入れ+片開きのクロゼット収納。
押入れの扉は片方に寄せられるので2枚分がオープンとなり、お布団の上げ下げが楽になります。
左端の扉は片開きとなってまして、普段着の衣類や掃除機の収納クロゼットになっています。
障子を閉めるとこんな感じ。障子は横桟のシンプルなデザイン。
キッチン正面の壁は居住空間からよく見えますのでモザイクタイルを張って感じよく仕上げています。
キッチンから洗面脱衣室までの通路の眺め。洗面脱衣の引込戸を解放したまま広く暮らしても見た目大丈夫なデザインです。
通路の右側(階段との間)には冷蔵庫が納まり、その向こう側は可動棚によるパントリー。
キッチンサイドにバルコニーを設けました。生ゴミは家の中に置かない生活です。
洗面脱衣室とトイレ
ミラーBOXはチェーンオペレーターの操作のためw750タイプの既製品。
洗面台はお掃除が楽なピアラを採用。
隣にガス乾燥機「乾太くん」設置するのでワイド寸法悩みましたが、壁厚を工夫することでワイド900mmのものでも行けると判断。
↑ 乾太くん、ピッタリ納まりました(^^)
洗面脱衣室には市販の引き出し収納を収めれらるスペースも準備しています。
3階、お子さんの寝室。大きなクロゼット収納を備えています。
そして、そして・・・
ご主人様が音楽と読書、そしてお茶(お酒?)を楽しむスペースです。
実はこの部屋、当初は予定しておりませんで、階段室の付録で「フリースペース」という名前の収納スペースでした。
ご主人様から「私の部屋が欲しい」ということで、「それでは廊下と仕切っておきますね」といった感じの扱いでした。
奥様のお部屋「笑っ亭」にならって、ご主人様も自分のお部屋に「黙思庵」とネーミング。
私の師匠は出江寛という建築家で、日本の伝統的な美しさを現代素材を使って表現することに定評のある方です。
出江先生の建築の本質は「沈黙」にありまして、「沈黙の美学」「沈黙は語りうることが出来るか」など先生の著書や講演会で必ず語られる重要な言葉です。
出江好みのネーミングに触発されてつい興に乗ってしまい、出江調の曲線や納まりを提案。快く受け入れてくださいました。
テラスドアを開けると祇園の花火を見るためのバルコニーです。ほぼ、ご主人様専用のスペースになりそうですね。
写真を撮り忘れましたが、このバルコニーから眺める近所の桜がきれいでした。
障子はテラスドアがむき出しでは「黙思庵」の雰囲気が損なわれてしまいますので、それを隠す役割をしています。
「中世古の家」のHさんから「建築相談会に参加したい」とお電話を頂いたのは4年前の3月のことでした。
当時は時期未定でしたので見学会の度にご案内させていただいく関係でしたが、
一昨年の秋になって「ボチボチはじめてください」ということで、本格的に家づくりがはじまります。
建築が好きな奥様主導で打ち合わせが進みましたが、やがてご主人様にも家づくりに興味をお持ちいただけるようになり
工事が始まると、工事が進む様を確認するのが楽しくて奥様より足繁く現場に通ってくださったそうです。
家づくりが好きな奥様は勿論、ご主人様にも家づくりを楽しんでいただけたことが何より嬉しいことでした。
Hさん、竣工おめでとうございます。