「老津の家」は2回目の生コン打設が終わりました。
生コンは一発勝負。打設状況で品質が左右されてしまいます。
私が昔お世話になった事務所はRC打放しが得意な事務所。
コンクリートそのままの姿が仕上げとなる「RC打放し」の場合は特に慎重になるべきで、スタッフ総出で現場で打設作業をお手伝いに行きました。
設計事務所が作業着を着て打設のお手伝いをすることは他では有り得ない事のようで、随分と珍しがられたり、時には露骨に嫌われたりして気の荒い土工さんから生コンをぶっ掛けられたりしたこともありました。
12階建てのRC打放しの現場では、私たち設計事務所のスタッフと土工さんとの折り合いが付かないまま工事が始まり、1階部分のコンクリートにはジャンカや気泡が多く見られました。
次第に息が合うようになり、3階~5階くらいになると惚れ惚れとする素晴らしいコンクリートが打設できるようになりましたが、6階部分の工事のあたりから事務所が忙しくなってしまい、スタッフが一人抜け・・・二人抜け・・・担当者さえも立ち会えくなってしまった時がありました。
面白いもので、設計事務所の熱意が土工さんたちに伝わるのですね。
それに比例して気泡やジャンカが多く表れる様になり、誰も立ち会えなかった階のコンクリートは極端に悪いことがあからさまに分かりました。(それでも他の事務所の打放しよりは格段に良いコンクリートでしたが)
大きな工事では、生コンの打設が繰り返し行われるので、自分なりにテーマを持ちながら型枠を叩き、その仕上がり具合を確認することが出来ます。
そのような経験を積ませていただいたおかげで、RC打放し仕上げには自信を持っているところですが、信条として住宅にコンクリート打放しを採用するべきではないと思っているので、その知識を生かす場面は多くありません。
2012.05.12 ディクタ建築事務所 原田 久