通勤中の信号待ちの間、庇の長さについて
「15cmくらいかな。20cmくらいかな。」
目の前で、手のひらを広げて、小首を傾げながら考えていたところ
横断中の女性が、チラ見した視線を逸らせて、早歩きで横断歩道を渡っていきました。
手を振ったわけではないのに・・・・
建築の部位を顔に例えるとするならば、
窓は目、庇は眉やまつ毛に相当するのでしょう。
人は顔や髪型、目・鼻・口の大きさ配置のバランスで美醜が分かれるとすれば、
品の良い「美人的な建築」を目指す私たちの事務所では、
窓の大きさや庇とのバランスは大切になってきます。
庇の出を壁からどれだけ出して、横の巾は窓に対してどれほどにするのか。
庇と窓はどれだけ離すとバランスがいいのか。
現場で端材を拾って確認したり、事務所で原寸図面をおこして確認したり、あれやこれやと思考をめぐらします。
庇の色は白?銀?黒?
艶は、艶消し?3部艶?5分艶?7分艶?全艶?
こういった検討は窓だけではありません。
構造検査が終わったあたりから、図面では表現しきれない
細かい部分の納まりや仕上げが議題にのぼります。
これらひとつひとつを考えに考え抜いて
「丁度良い」ところを探し答えを出していきます。
「神は細部に宿り給う」
細部の検討の積み重ねが、作品のクオリティーを高めます。
2013.06.17 ディクタ建築事務所 原田久