「東郷の家」のLDK空間には構造的な要件により1本だけ表しの柱があります。
私は「ドヤッ!」と見せるのことを好まないのですが、この柱についてはそれとなく主張しても面白いのかなと感じていました。
それで様々なことを考えるのですが、まずは鉄骨の丸柱にしてスリムに見せることを検討。しかし違和感があるので鉄骨の案は却下。
木の柱で少しだけ軽やかに見せたいと思い、その形を八角形にすることにします。大きさと材種について、設計中に決めきることが出来ずに「工務店や材木屋さんと相談しながら決定しよう」と判断を先送り。現場に持ち越しました。
柱の太さは、太すぎると野暮ったいですし、かといって細すぎると頼りなく感じます。
105、120、135、150の中から空間のボリュームに最適な寸法を自分なりに結論を出して決定します。
木材の種類は、桧や杉ですとありきたりですし、色的に合わないのかなと。そこで「タモやアッシュのような上品且つ強い木で良い材ははありませんか?」設計の意向を伝え、材木屋さんの倉庫の中から探してもらうことにします。
「タモは見積りの5倍の価格ですので追加費用が必要ですが、アフリカンチーク(アサメラ)でしたら見積りの2倍程度ですので追加なしで良いですよ」との提案をいただき、お客様の了承を得て採用に至ります。
この柱が実に素晴らしくて現場でニヤニヤしながら眺めています。
さて、この柱ですが単独で立っていればいいのですが、カウンターと腰壁がまとわり付く設計となっています。
原設計ではカウンター上から柱が見える納まりでしたが、折角の柱ですので、足元から見せてあげたいと、その納まりついてアレコレと検討しているところです。
袖壁にはスイッチがありますので、ある程度の厚みが必要。
せっかくなので、その形状が強調されるように縁を切ってみたり
回りくどいことせずに素直にぶつけるのが良いのではないかとか・・
大きさの近いもので確認しながらアレコレ検討しているところです。
2016.03.07 原田久