一品生産品と各種制度と

2015-03-12 · 家づくり考・建築メモ

住宅性能表示制度に代表されるように、住まいにも明確な「性能」が求められるようになっています。 数値で、気密性は○○以下に、断熱性能は△△以上になるように、という具合に。

長期優良住宅やフラット35の省エネルギー性、3月10日より発行申請の受付開始となった省エネ住宅ポイントでも同様です。



数値で基準に線引きをすることは分かりやすい反面、一品生産品のハードルを上げることにもなります。

例えば玄関扉や木製サッシ。

メーカーさんの提供する既製品では試験体を用いて実験し、気密性や断熱性などを測定してカタログに数値として記しています。 一品生産品で実験を行おうとすると、費用的にも時間的にも現実的ではありません。 仮に同じ性能があったとしても、それを証明することが出来ない、というのが本当のところです。

カタログの数値を見ながら一定基準の性能を確保する安心感とともに図面に落とし込むというのが一般的な設計に なりつつありますが、そのぶん手仕事は少なくなっていきます。

オリジナルの木製玄関扉や木製サッシを好まれるクライアント様も少なくありません。

制度基準となっている数値では測りえない部分、味わいやデザインなどを大事にされた結果の採用ですが、 制度利用のメリットを手放すことにもなるので、製作品と既製品というモノ同士の比較ではなくなってしまい、 判断を難しくしているように感じます。

クライアント様がイメージしている空間の実現を第一に、各種制度とも付き合うことが大事だと考えています。

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