リフォームのこと

2015-02-23 · 建築相談のこと

以前に比べてリフォームの相談も多くなってまいりました。

リフォームとリノベーションの違いについて聞かれますが、建てた姿に近づけるために“復元”する事を「リフォーム」、 建てた時とは別物に“改修”する事を「リノベーション」と言うことのようです。

私たちに相談いただくリフォームとなりますと、水回りの更新やクロスの張替等いわゆる「リフォーム」の範囲を超えて 間取りの変更を伴う「リノベーション」的なものとなります。
プラン・性能・デザインの面で中途半端なことは求められておりませんので、コスト的にも大きなものになってしまいます。 それはお客様の想像を超えた金額になることが殆ど。

私がリフォームの相談を受けるときは「新築同等の費用が必要」と説明しております。


<柱脚が腐食して使い物にならない事例。腐食部分を切り取り新しい木材を継ぎ足します。>

工事が始まると想定してなかったことが発生することはリフォームではよくあることです。 リフォーム計画のスタートは新築同等の予算を考えておいて欲しいのです。

■既存の物を活用して・・・

「活用出来るものは残して、出来るだけコストを抑えてください」と要望されるのですが、 根本的な問題は建物の奥にこそ存在し、そこを正さない限り解決したことにはなりません。
例えば、耐震性の改善は、基礎(コンクリート・鉄筋)・柱・梁・筋違・構造金物といった部分の工事が必要ですし、 建物の耐久性・不朽性などの改善は、外壁を剥がして下地からやり直す必要があります。

また、不具合は弱いところに表れます。 断熱然り。耐震然り。部分のみの改修ではダメで全体の底上げが必要です。
予算の事情でお茶を濁した工事をしても、10~20年後に抜本的な対策を迫られる事になります。中途半端な費用を逐次投入。十数年毎にそれの繰り返しといった事態は避けたいところです。


<基礎は構造の要。基礎になんらかの補強を施さないと現行基準に近づけることは出来ません。>

■リフォームの判断基準

新築同等の予算を使ってまでリフォームを行うかどうかは、結局のところお客様が判断する事なのですが、「その建物を使わなければならない強い理由」がある場合に限られる気がします。

具体的には以下の2点。

1、法的な制約があって建替えが出来ない場合

道路の接道が出来なくて、建替えの建築確認がおりないケース。
用途地域の変更などで建ぺい率や容積率が厳しくなってしまい、従前より小さな物しか建てられないケース。

2、保存する意義がある場合

伝統的な建物など残す価値があるケース。
住み手の思い入れの深い建物。

どちらにも該当しない時は、長い目で考えると建て替えた方が宜しいかと思います。

 

  この記事を書いた人 

  原田 久( 建築家 / 一級建築士 )

有限会社 ディクタ建築事務所 代表取締役

愛知県北設楽郡設楽町出身
豊田工業高等専門学校建築学科卒業後、大阪の建築家・出江寛氏に師事。
出江事務所退社後、ハウスメーカー、ゼネコンを経て1998年設計事務所開設。
豊橋・豊川・蒲郡・新城等の愛知県三河地域で、住宅専門の設計事務所として
クライアントと一緒に楽しく丁寧な家づくりをしています。

1998~2004 豊田高専建築学科 非常勤講師
1998~2001 利幸学園 中部ビジネスデザインカレジ インテリア科 非常勤講師

ブログ(プロジェクト進行状況の紹介)  https://www.dikta.jp/blog/
コラム(家づくり全般について)     https://www.dikta.jp/column.html 

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