近年、住宅業界に於いて「危ない間取り」が量産されていることが問題となっております。何故そのような問題が起きてしまうのかを説明したいと思います。
今日のお話は、家づくりをお考えの方が家づくりを始める前に知っておいていただきたい内容で、 これを踏まえておけば、住宅会社の選び方の参考にもなるのではないかと思います。
住宅会社の社員その全てが建築の専門家というわけではなく、 お客さんと打合せをする営業マンの中には建築の専門課程を経てない素人の方も多く存在します。営業マンが建築士の有資格者なら良いのですが、 建築素人の営業マンがプランを考えることは住宅業界では一般的な光景です。
で、素人が考えた構造的に問題のある図面であっても、そのまま契約。申請、着工へ。 そして、その危険な図面がプレカット工場に送られて来たときには後戻りの出来ない段階。 結局、危ない間取りのまま家が出来あがってしまう事例が多発。そのことが問題となっています。
詳しくはコチラの記事(→ 量産される「危ない間取り」 (日経ホームビルダー 2009/07/28))をご覧ください。記事末尾の専門家による書き込み(コメント)があるのですが、コメント数の多さとその内容から事態の深刻さがご理解頂けることと思います。
コメントに「4号特例」という言葉が頻繁に出てまいります。建築行政では木造2階建住宅のことを「4号建築」と呼び、 小規模でオーソドックスな住宅を一級建築士が設計を行うのであれば 構造審査はノーチェックで確認済証を交付するという特例があります。
さらに、4号建築は構造計算を義務付けておらず 「壁量計算」という簡易なチェックを行えばOKとされています。この「壁量計算」は、耐力壁を建物規模に応じた数量以上にバランス良く配置することを定めたもので、 上階の応力を下階に伝達する術の検討まで求めてはおりません。
ですので上下の階で構造的に一致しない「危ない間取り」でも建築基準法上はクリア出来てしまうのです。
昔の大工さん、専門課程を経た建築士なら当たり前に出来ることなので、 オーソドックスな物件を「4号特例」として現実的な建築行政を行っていたのですが、 業界を取り巻く環境が変わってしまった昨今この特例がネックとなっています。
関連記事 木造2階建て住宅が危ない (2012.05.25)
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