木造2階建て住宅の構造設計の実情

2013-02-09 · 設計のこと

近年、住宅業界に於いて「危ない間取り」が量産されていることが問題となっております。何故そのような問題が起きてしまうのかを説明したいと思います。

今日のお話は、家づくりをお考えの方が家づくりを始める前に知っておいていただきたい内容で、 これを踏まえておけば、住宅会社の選び方の参考にもなるのではないかと思います。

木造2階建て住宅の構造設計の実情

住宅会社の社員その全てが建築の専門家というわけではなく、 お客さんと打合せをする営業マンの中には建築の専門課程を経てない素人の方も多く存在します。営業マンが建築士の有資格者なら良いのですが、 建築素人の営業マンがプランを考えることは住宅業界では一般的な光景です。

で、素人が考えた構造的に問題のある図面であっても、そのまま契約。申請、着工へ。 そして、その危険な図面がプレカット工場に送られて来たときには後戻りの出来ない段階。 結局、危ない間取りのまま家が出来あがってしまう事例が多発。そのことが問題となっています。

詳しくはコチラの記事(→ 量産される「危ない間取り」 (日経ホームビルダー 2009/07/28))をご覧ください。記事末尾の専門家による書き込み(コメント)があるのですが、コメント数の多さとその内容から事態の深刻さがご理解頂けることと思います。

コメントに4号特例という言葉が頻繁に出てまいります。建築行政では木造2階建住宅のことを「4号建築」と呼び、 小規模でオーソドックスな住宅を一級建築士が設計を行うのであれば 構造審査はノーチェックで確認済証を交付するという特例があります。

さらに、4号建築は構造計算を義務付けておらず 「壁量計算」という簡易なチェックを行えばOKとされています。この「壁量計算」は、耐力壁を建物規模に応じた数量以上にバランス良く配置することを定めたもので、 上階の応力を下階に伝達する術の検討まで求めてはおりません。

ですので上下の階で構造的に一致しない「危ない間取り」でも建築基準法上はクリア出来てしまうのです。

昔の大工さん、専門課程を経た建築士なら当たり前に出来ることなので、 オーソドックスな物件を「4号特例」として現実的な建築行政を行っていたのですが、 業界を取り巻く環境が変わってしまった昨今この特例がネックとなっています。

よろしければ、こちらの記事も併せてご覧ください。


  関連記事   木造2階建て住宅が危ない (2012.05.25) 
  関連記事   量産される「危ない間取り」(2009.07.29) 
 

  この記事を書いた人 

  原田 久( 建築家 / 一級建築士 )

有限会社 ディクタ建築事務所 代表取締役

愛知県北設楽郡設楽町出身
豊田工業高等専門学校建築学科卒業後、大阪の建築家・出江寛氏に師事。
出江事務所退社後、ハウスメーカー、ゼネコンを経て1998年設計事務所開設。
豊橋・豊川・蒲郡・新城等の愛知県三河地域で、住宅専門の設計事務所として
クライアントと一緒に楽しく丁寧な家づくりをしています。

1998~2004 豊田高専建築学科 非常勤講師
1998~2001 利幸学園 中部ビジネスデザインカレジ インテリア科 非常勤講師

ブログ(プロジェクト進行状況の紹介)  https://www.dikta.jp/blog/
コラム(家づくり全般について)     https://www.dikta.jp/column.html 

豊川市, 愛知県, JPのHouzz登録専門家原田久クライアント様から、家づくりSNS「HOUZZ」にレビューを頂いてます。
よろしければ、こちらのサイトも併せてご覧ください。

 

豊橋、豊川、蒲郡、岡崎、豊田、設計事務所と創る注文住宅|有限会社 ディクタ建築事務所

有限会社 ディクタ建築事務所 / Dikta architects office

pageup